先日、鍼の恩師にこの本を頂きました。私が恩師にお会いする度にいろいろな疑問をぶつけるからでしょうか。。ありがたし。家に帰る電車の中で早速読み始めました。
この本は、私自身も鍼灸学校に在学中、授業を受けさせて頂いていた石原克巳先生が書かれた本です。石原先生は鍼灸、漢方などの伝統医学から化学機器を利用した現代医療に至るまでを駆使し、「医療の根本は人体の持つ自然治癒力を引き出し、治癒の過程を手助けすることにある」という考えのもと治療を行っていらっしゃいます。
先生の考える1番大切なこと、それはいのちの仕組みを知るということです。それを知ることは病ということ、治療ということ、そしてよく生きるということとダイレクトに関わってくるというのです。
先生はいのちの仕組みを説明するにあたり、アメリカのオステオパシーの伝説的な治療家、フルフォード博士の「宇宙のものはまるでひとつのものであるかのようにつながりあっている」という言葉を引用しています。それは私たちのカラダも地球の自然の働きの中に含まれているということであり、私たちの体が小宇宙と言われるゆえんであることを意味しています。
その自らに備わっている(自然治癒力とも言い換えられる)いのちの仕組みを感じて自分の不調に向き合う時、お医者さんや治療家などに人任せにすることなく、自分自身の生き方を再点検するチャンスであると自覚して、向き合うことが大切なのだと言うのです。
〈病いは自分で起こしている。そう思えた時、人生観が変わってきます。皆さんの人生観が変われば社会が、そして地球が変わります。病むこともまた自分の人生なのです〉
先生は究極の理想の世界を、治療師がいない世界と言っています。誰もが自分を癒せる世界。それには自分の不調や病の声に耳をすませられる感性を養っていくこと(実は誰でも本能的に持っているのですが)が大切です。。。
それらのメッセージを読んでいて、おこがましくも、「けろぴー鍼灸院でお伝えしていることに通じているなあ」と感じました。
自らに備わっているいのちの仕組みを感じ、その力にゆだねるということ。そのことは、自分の体の不調についても言えますが、体だけにとどまらず、人との関係においても、気持ちの部分で力まずにありのままでいれば、自分も人も必ず調和に導かれるということを信じ、大きな流れにゆだねることと直結しているのだと思います。そうなったとき大概のストレスは次第にその姿を変えて行くものです。意識が変わるとストレスはストレスではなくなり、そして身構えていた身体も芯の結ぼれが解かれていき、いつか不調は消えていきます。
私自身もまた、ヨガをしている時、または呼吸法をしている時、自分の心と体に入っている力みに気づきます。「よくもまあ、また頑固に凝り固まっていたものだ!」自分の癖にはとても根深いものを感じます。けれどその力みに気がつくと、ふっと力が抜けるのです。
これから先も私は、知らないうちに心と体に入っている力みに幾度となく気がついて行くことでしょう。けれどその度に、焦ることなく1つずつ手放していきたいと思います。
そうやって心と体の無駄な力みが取れていくに従って、私たちは動物、植物、生きているすべてのものを含む宇宙のつながりの中で、自分のあるべき姿を表して生きていけるのだと思います。そしてそれは、自分をいやすと共にこの世界をいやしていくことでもあるのです。